生前に収入を得ていた人が亡くなった場合(要件に該当すると)、所得税の確定申告を行う必要があります。
この申告のことを「準確定申告」といいます。
これから、準確定申告が必要なケースや期限、手続きなどについてご案内します。
準確定申告とは?
亡くなった人が、個人事業主(自営業者)だった場合やアパートなどの賃貸収入があった場合などには、存命なら確定申告が必要です。
でも、その本人が亡くなってしまった場合は、確定申告を行うことはできません。
このような場合に、相続人が本人(亡くなった人)に代わって確定申告を行わなければなりません。
この確定申告のことを「準確定申告」といいます。
準確定申告が必要な主なケース
準確定申告が必要な主なケースとしては、次のケースが挙げられます。
亡くなった人が・・・・・
- 個人事業主だった
- アパートやマンションなどの賃貸収入があった
- 不動産などの資産を売却した
- 2,000万円を超える給与収入があった
- 給与所得以外にも、20万円を超える所得があった など
亡くなった人が会社員だった場合、基本的に勤務先が年末調整を行ってくれるため申告は不要です。
ただし、給与の年間収入が2,000万円を超える場合や給与以外に20万円を超える所得があった場合などは準確定申告が必要になります。
また、申告を行うと所得税が還付されて得になる可能性があるケースとして、例えば、医療費控除の対象となる高額な医療費を支払っていた場合が挙げられます。
この場合、亡くなった人の収入が年金収入だけであっても、所得税の還付を受けられる可能性があります。
年の途中で亡くなった場合、その年の年金収入は減ってしまいますが、年金の源泉徴収税額は1年間の年金収入を基準に計算されているため、その差額分が戻ってくる場合があります。
このように、亡くなった人の収入が年金だけだからといって申告をしないと損してしまうこともあります。
準確定申告についてご不明な点がございましたら、私たち静岡相続手続きサポートセンターにお気軽にお問い合わせください。
準確定申告の期限について
準確定申告は、相続税の申告とは別で、被相続人が亡くなった年の1月1日から亡くなった日までの所得を計算して税務署に申告します。
この時、もし被相続人がその前年の分の申告をしないまま亡くなった場合には、その年分の申告も合わせて行います。
いずれも期限は、「相続の開始を知った日の翌日から4ヶ月以内」です。
一般的に、通常の確定申告は2月~3月にかけて行われますが、準確定申告は期限が異なるためご注意ください。
また、納めすぎた所得税の還付を受ける還付申告の場合は、還付請求権は5年間で消滅してしまうため、5年以内に申告する必要があります。
準確定申告の手続きについて
準確定申告は、確定申告書とその付表を被相続人(亡くなった人)の所在地を管轄する税務署に提出して行います。
申告書は被相続人の名前で作成し、付表は相続人の連名で作成することになります。
もし、一緒に作成できない相続人がいる場合には、その相続人も同じ内容の申告書と付表を別に提出する必要があります。
注意点としては、社会保険料や生命保険料、医療費控除の対象になる医療費などは「亡くなった日までに支払った金額が限度になる」ということです。
被相続人の医療費であっても、亡くなった後に支払った分は控除の対象になりませんのでご注意ください。
ただし、この場合は相続人と被相続人が同一生計なら、相続人の確定申告の医療費控除に含めて確定申告することは可能です。
準確定申告によって納めた所得税は、相続税の計算の際に、債務控除として相続財産から差し引くことができます。
その反対に、還付金がある場合は相続財産にプラスされます。
準確定申告の手続き(まとめ)
申告者 | 相続人または包括受遺者 |
申告先 | 亡くなった人の住所地を管轄する税務署 |
必要書類 |
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期限 | 相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヶ月以内(還付申告は5年) |
準確定申告や相続税の申告、相続についての各種手続きなどのご依頼は、私たち静岡相続手続きサポートセンターにお問い合わせください。