相続税の節税対策。子への贈与で生命保険を活用する方法

相続税対策。生命保険を活用した子への贈与。

相続税の節税対策として、毎年、現金贈与のつもりで自分の死亡保険金の保険料を負担するといった生命保険を活用する方法があります。

今回は、子への贈与で生命保険を活用する方法についてご紹介します。

相続対策で生命保険を利用するメリット

相続税対策には3つの大きな柱があります。

その3つの柱とは、「節税対策」、「納税資金対策」、「争族対策」のことをいいます。

生命保険はこの3つの対策いずれにも役立つ相続対策の切り札になるため、積極的に活用を検討したいところです。

具体的に、生命保険には次のメリットがあります。

  1. 非課税枠の特典がある
  2. 納税資金などに利用できる
  3. 保険料の支払いで、相続財産が減少する場合がある
  4. 遺族の生活保障となる
  5. 遺産分割のトラブル回避に利用できる
  6. 相続放棄をした人でも保険金を受け取ることができる

上記の①~③のメリットが、相続税対策としては特に力を発揮してくれます。

子への贈与で生命保険を活用するポイント

例えば、贈与を現金でする場合、多額になると贈与税の負担が大きくなり、また、贈与方法、贈与税の申告、贈与契約書を作成するなどしっかりと証拠を残さなければいけません。

また、納税資金としてあげたつもりだったのに、もらった子供がどんどん使ってしまうことも考えられます。

これらの問題を解決するために、生命保険契約を締結して現金贈与をするつもりで、毎年の保険料を負担する方法があります。

被相続人本人が自分に生命保険をかけることによって、自分が亡くなった時に子(受取人)に死亡保険金が支払われる他、特典もあります。

例えば、相続人である子が死亡保険金を受け取る場合は、生命保険の非課税枠を利用できます。

ポイント

  • 毎年、現金贈与のつもりで自分(被相続人)の死亡保険金の保険料を負担する
  • 非課税枠の分の生命保険金を受け取っても税金はかからない
  • 一次相続だけでなく、二次相続についても検討する

生命保険金の非課税枠について

保険契約に基づく死亡保険金を受け取った場合、保険料負担者は誰か、保険金の受取人は誰かによって税金は異なります。

すなわち、契約形態によって課税される税金が異なるのです。

契約形態 契約者(保険料負担者) 被保険者 受取人 税金の種類
契約者と被保険者が同一 相続税
契約者と受取人が同一 所得税と住民税
契約者、被保険者、受取人の三者が異なる 贈与税

※上記の表は全て、父を被保険者として作成しています。

相続税の非課税枠の適用を受けるためには、契約者と被保険者が同一で、受取人を相続人とする契約形態でなければいけません。

保険料負担者(父)が自分自身に掛けた保険金の受取人が相続人である場合は、税法上、死亡保険金は被相続人(父)から相続人へ相続されたものとみなされます。

注意が必要なのは、非課税枠は相続人に限定されているとうことです。

そのため、相続を放棄した人や、子の配偶者や孫等の相続人以外の人は対象になりません。

生命保険の非課税枠
非課税金額=500万円×法定相続人の数

・法定相続人の数は、相続の放棄がなかったものとして計算します。

・養子がある場合の法定相続人の数は、実子がいれば1人、実子がいなければ2人までしか加えることができません。

相続対策の生命保険契約は「終身保険」で

生命保険の種類は、一生涯保障が続き、被保険者の死亡時に必ず保険金が支払われる終身保険に加入しましょう。

なぜなら、定期保険や養老保険を選んでしまうと相続が発生する前に満期が来てしまう可能性があるからです。これでは意味がなくなってしまいます。

相続税対策に最も適している保険は「終身保険」です。

死亡保険金の受取人は配偶者は避けるべき

保険契約時の契約形態や加入する保険の種類だけでなく、死亡保険金の受取人を誰にするかについても注意が必要です。

配偶者の場合は、相続税法上において様々な特典があります。例えば、「配偶者の税額軽減」が挙げられます。

この配偶者の税額軽減とは、取得した遺産額が法定相続分、または、1億6,000万円までなら配偶者に相続税がかからないという制度です。

この制度を考慮すると、死亡保険金の受取人は配偶者ではなく子にすべきです。

子の立場で考えると、父が亡くなった時(一次相続)に相続税が発生し、また、父の財産を法定相続分相続した母が亡くなった時(二次相続)にも相続税を納付しなければならない可能性があります。

このことから、相続税のかからない生命保険金はやはり配偶者ではなく、相続税を支払う可能性のある子が受け取る方が良いといえるでしょう。

生命保険は二次相続にも備えましょう

生命保険金の非課税枠を利用することは、父の相続時(一次相続)だけでなく、父の財産を半分相続する母の相続時にも活用するとメリットはさらに大きくなります。

母に収入がなければ、父が代わりに保険料を支払うことができます。

そして、父が亡くなった時には母がその保険契約を引き継げば同じ効果が得られます。

また、父が亡くなった後は保険料を支払わなくてよいという連生保険もあります。

このように、生命保険の相続税対策は、非課税枠の特典を二重で活かすことができます。

 

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