相続税対策の一つとして、よく生前贈与の手法が用いられます。
このように生前贈与等によって贈与があった場合に、贈与税を支払わなければならない人は誰になるのでしょうか。
今回は、「贈与税の納税義務者」についてご案内します。
目次
贈与税は財産をもらった個人が払う
「贈与税の納税義務者」とは、贈与税を納付しなければならない人のことです。
贈与税の納税義務者は、原則、個人からの贈与によって財産を取得した個人(受贈者)です。
財産を与えた人のことを「贈与者」、財産をもらった人のことを「受贈者」といいます。
贈与税は、相続税のように個人にのみ課税することを前提とした税金なので、もし法人が財産を贈与されたとしても贈与税は課税されません。
この場合、他の法人の所得と合わせて、法人税が課税されることになります。
贈与税の申告について
贈与税の申告は、税金を納付する受贈者(財産をもらった人)が行います。
申告先は、受贈者の住所地を所轄する税務署になります。
暦年課税の場合は、基礎控除額(1年間に110万円)を超えて贈与を受けた場合に申告が必要です。
暦年贈与について詳しく知りたい方は、こちら↓をご覧ください。
暦年贈与とは?贈与(一般贈与財産、特例贈与財産)の計算方法や連年贈与の注意点について解説配偶者控除などの贈与税の特例の適用をうける場合に、たとえ贈与税の納付額が0円でも申告が必要になります。
また、相続時精算課税を選択する場合、贈与額に関係なく申告が必要です。
相続時精算課税について詳しく知りたい方は、こちら↓をご覧ください。
相続時精算課税制度とは?選択には注意点があります。メリットやデメリットを解説します贈与税の申告・納税期間は、「贈与を受けた翌年の2月1日~3月15日まで」です。
(新型コロナウイルスなどの影響により延長される場合があります。)
贈与税の申告や納税が必要な方は、必ず期限内に申告・納付を済ませましょう。
贈与税は「個人とみなされる人」にもかかる
原則、贈与税の対象は個人です。
ただし、次の場合は個人とみなされて贈与税がかかります。
①代表者または管理者の定めがある人格のない社団または財団が、個人から財産をもらった場合、その社団または財団は個人とみなされて贈与税がかかります。
例えば、同窓会やPTAなどがこれに該当します。
②その人格のない社団または財団を設立するために、個人から無償で財産の提供があった場合も、その人格のない社団または財団は個人とみなされて贈与税がかかります。
また、③公益を目的とする事業を行う法人の中に、公益の名を借りて、実質的には行っている事業は必ずしも公益を目的としているとはいえないものがあります。
この場合に、不当に贈与税の納税を免れることを防止するため、これらの一般社団、財団法人に対して財産の贈与があった場合は、①、②の人格のない社団と同じように、その法人を個人とみなして贈与税を課税されることになります。
現在は、一般社団や財団法人等を利用した税金逃れを防ぐための税制改正が行われています。
一定条件の下で、理事が亡くなった場合には相続税が課税されますので、ご注意ください。
贈与税のことでご不明な点等がございましたら、静岡相続手続きサポートセンターにお問い合わせください。
贈与税の納税義務者の注意点
受贈者の住所によって贈与税の納税義務が異なる
贈与税の納税義務者の注意点は、「もらった人の住所によって贈与税の納税義務が異なる」ということです。
原則、受贈者(もらった人)がその財産をもらった時に日本国内に住所がある場合には、もらった財産の所在が国内にあるか、海外にあるかを問わず、その一年間の贈与により取得した国内、海外を含めた財産全部について、無制限に納税義務があります。
一方、受贈者がその財産をもらった時に日本国内に住所がない場合は、もらった財産のうち日本国内にある財産の贈与については、住所や国籍に関係なく全ての受贈者は贈与税を納付しなければいけません。
受贈者のみならず贈与者が日本国内に住所を有していた場合も、国内、海外にある全財産に対して贈与税がかかります(この場合、10年以内に国内に住所を有したことがあるかどうかで判定します)。
ただし、一時的に日本に住んでいる外国人同士の国外財産の贈与や長期滞在外国人が出国後に外国人に国外財産を贈与した場合は、原則、贈与税は課税されません。
贈与者が「贈与税」を贈与した場合
贈与税は、財産をもらった人が納付する税金です。
でも、財産をあげた人の中には、贈与税の面倒もみてあげたいという人もいると思います。
この場合は注意が必要です。
受贈者(もらった人)の代わりに贈与税を払った場合は、その払った贈与税額に対して、さらに翌年贈与税の課税対象となってしまいます。
受贈者が贈与税を払わない場合
財産をもらった人が、もし贈与税を納付しなかった場合は、その贈与税はどうなるのでしょうか。
この場合、贈与者(財産をあげた人)にも納税の責任があるとして、贈与者が贈与税を払わなければならないとされています(「連帯納付義務」)。
贈与した相手(受贈者)が贈与税を払えるかどうか心配しないで済むように、贈与する場合は受贈者がしっかりと贈与税を払えるかを検討してから実行することが大切です。
静岡相続手続きサポートセンターでは、相続税の申告だけでなく、生前贈与や贈与税の申告、相続税対策なども行っております。
相続税や贈与税の申告などでお困りの方は、静岡相続手続きサポートセンターにお問い合わせください。