相続財産に何があるのかわからない場合の問題点と対処方法について

相続財産に何があるかわからない

もし、あなた(相続人)が相続財産に何があるのかよくわからない状態で相続が発生してしまったら、いくつかの大きな問題が起こる可能性があります。

相続財産に何があるかわからない場合に起こりうる主な問題としては、次の3つが挙げられます。

  1. 相続税がかかるかどうかわからない
  2. 遺産分割協議が進まない
  3. 相続手続きが完了しない

これから、これらの3つの問題点やその対処方法についてご紹介します。

相続財産に何があるかわからない場合の問題①

相続人が相続財産に何があるか把握していないと、相続税がかかるかどうか、また相続税の申告や納税が必要かどうか、判断することができなくなってしまいます。

相続税はかからないと思っていたら、遺産の総額が基礎控除額を超えていて、相続税がかかってしまったなんてことが起こるのです。

相続税の基礎控除額とは?
基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

しかも、相続税の納税資金対策をしていなかったため、相続人にお金がなく相続税を納めることができないといった事態に陥ることもあります。

相続税の申告と納付の期限は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内となります。

このように、相続財産に何があるのかわからない状態では、相続人の負担はますます大きくなってしまいます。

相続財産に何があるかわからない場合の問題②

2つ目の問題点は、遺産分割協議が進まなくなってしまうということです。

遺産総額が基礎控除額を超えている場合、たとえ遺産分割協議が完了していなくても、相続税の申告や納付を行わなければなりません。

この場合、遺産分割協議が完了していないので未分割のまま申告を行うことになりますが、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例といった、相続税の計算を行う上でとても有利に働く大切な制度の適用を受けられなくなっています。

その結果、高い相続税を納付することになります。

また、被相続人(亡くなった人)名義の財産について名義変更できないので、相続人は各自それぞれの財産から相続税を払わなければなりません。

相続財産に何があるかわからない場合の問題③

3つ目の問題点は、相続手続きが完了しないということです。

そうなると、例えば被相続人名義の不動産があった場合、不動産は被相続人名義のままになり、被相続人宛に固定資産税の納税通知書が届いてしまいます。

このように、所有者の名義を変更できない(所有権移転登記が完了しない)ので、建て替えや売却することもできなくなります。

また、預貯金を引き出すこともできなくなってしまいます。

もし、相続手続きが終わらない状態で、万が一相続人自身が亡くなってしまったら、相続手続きはかなり面倒になってしまい、残された遺族は大変な状況に陥ってしまいます。

相続財産に何があるかわからない場合の相続発生「前」の対策

相続発生前の有効な対策としておすすめなのは、エンディングノートを利用することです。

エンディングノートには、相続財産を拾い出して把握するためのページがあります。

順番に記入していくだけで、きちんと財産を把握できるようになります。

この時、不動産については、登記事項証明書や登記済権利証、登記識別情報等の保管場所についても一緒に記入してもらいましょう。

取り引きしている金融機関についても、金融機関や支店の名称、住所や電話番号、取引内容などを書いてもらえば、相続手続き時にスムーズに進めることができます。

この時、金融機関から送付される取引明細などの保管場所も記入してもらうと手続きしやすくなります。

相続財産全体が把握できたら、税理士に相続税がかかるかかからないかシミュレーション(試算)してもらいましょう。

相続税について税理士に相談しておけば、事前に相続対策を行うことができます。

納税資金対策としては、生命保険(終身保険)に加入することも一つの方法です。

もし、相続税の申告期限までに相続財産を確定させることができず、未分割のまま相続税の申告・納付を行う場合でも納税資金を確保できるからです。

生前にしておきたい相続対策について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

生前にしておきたい相続対策生前にしておきたい相続対策。遺産分割対策、納税資金対策、節税対策の3つが大切

相続財産に何があるかわからない場合の相続発生「後」の対策

相続財産を把握する前に相続が発生してしまった場合、不動産については市区町村役場に固定資産税の名寄帳の交付を申請します。

かりに親が亡くなった場合、その前に亡くなった祖父母や配偶者の名義のままの状態で残っていることもあるので注意が必要です。

預貯金等の金融資産については、取引明細などを探すか、または金融機関から届くのを待つという方法があります。

ただし最近では、ネット上で取引内容を見る方法をとる金融機関が多いため、紙ベースで送られてこなくても取引のある金融機関がある可能性があります。

このような時には、ある程度予測して動くことも必要です。

例えば、自宅にATM処理票やメモが残されていないか、また、金融機関からもらったカレンダーや粗品などが残っていないかなどの手掛かりを探し、取引の可能性のある金融機関全てに連絡していくしかありません。

 

相続税の申告・手続き、相続税対策や相続税のシミュレーションについてお困りの方は相続税の専門家である税理士が所属する静岡相続手続きサポートセンターにお問い合わせください。

 

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