相続登記とは、不動産の所有者が亡くなった場合に、その不動産の名義を被相続人からその不動産を引き継いだ相続人に変更する手続きのことです(所有権の移転の登記)。
これまでは、相続登記の手続きを行っていなくても罰則は特にありませんでした。
ところが、2024年からこの相続登記が義務化されることが決まりました。
ではなぜ相続登記が義務化されることになったのでしょうか。
相続登記の義務化の背景
相続登記が義務化される原因は、所有者がわからない(不明の)土地が増加しているからです。
所有者が不明の土地とは、例えば、所有者は把握できているのに、連絡がつかない人が所有している土地やそもそも不動産の登記簿上、誰の所有かわからない土地などのことを意味しています。
国土交通省の平成28年の地籍調査によると、驚くことに所有者不明の土地は日本全体の約20%も存在するとされています。
所有者不明の土地が増加している一番の理由として、相続登記は義務ではないため、手続きしていなくても罰則等はなかったことが挙げられます。
このように所有者不明の土地が増加するといくつか問題点が出てきます。
例えば、管理されない土地がそのまま放置され続けると、近隣の住民たちの生活に悪影響が出ることや公共事業や復興事業がスムーズに進まなくなるなど様々な問題が生じます。
相続登記の義務化はいつから始まる?
令和3年12月14日の閣議で、2024年(令和6年)4月1日からスタートすることが決まりました。
現時点(2022年6月10日)では、まだ相続登記は義務化されていません。
相続登記の義務化の対象者とは?
相続登記の義務化の対象になる人は、義務化が始まった後に相続を開始した人です。
これは当然のことだと思います。
ここで注意点が一つあります。
それは、相続登記の義務化が始まる前に相続が開始した人で、義務化が開始された後にまだ相続登記の手続きが完了していない人も対象になるということです。
そのため、まだ相続登記を済ませていない人は早めに手続きしておきましょう。
相続登記の義務化には罰則がある
相続登記の義務化にはペナルティがあります。
相続登記の義務化のルールは、相続した時から3年以内に登記手続き(申請)しなければなりません。
もし、このルールどおり手続きが完了していなければ、10万円以下の過料に科される可能性があります。
この過料とは刑罰ではなく行政上の罰のことで、国や地方公共団体が国民に科す金銭納付命令です。
それでは、相続登記の義務化が開始される前に相続が発生していて、相続登記が完了していない人のケースを確認します。
この場合、相続登記の義務化が開始される日から3年以内に相続登記の手続きを完了させれば過料は科されません。
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(相続登記は司法書士の業務です。当センターにお問い合わせいただければ、相続登記に詳しい専門の司法書士をご紹介させていただきます。)