生前贈与を行う際に、子に現金で贈与したら良いか、または賃貸アパートなどを所有している方はその土地や建物を贈与したら良いか悩まれる方がよくみられます。
実際に弊社でも、現金か不動産かどちらで生前対策をしたら良いか、どちらを贈与したら有利かどうかのお問い合わせをいただきます。
弊社ではこのような場合、お客様の現状を確認させていただき、贈与についてそれぞれのシミュレーションを行うだけでなく、将来発生する相続についても検討しながら有利、不利を判定します。
シミュレーションをする理由は、お客様ごとに有利、不利の判断基準が変わることがあるからです。
今回は、現金贈与と不動産(土地・建物)の贈与について、一般的に考えられる有利、不利についてそれぞれの項目ごとにご紹介していきます。
不動産の贈与は証拠が残る・相続税+所得税のダブル効果
不動産の贈与の場合、基本的に登記を行いますので、その登記によって証拠を残すことができます。
この点が現金贈与とは異なることろで、法的にも課税上も確実で安心と言えます。
また、賃貸ビルや賃貸アパート、賃貸店舗等を贈与した場合は、その後の収入は贈与を受けた人のものになります。
そのため、将来の収入に当たる金額を毎年贈与するのと同等の効果を生むことができるというメリットがあります。
建物を贈与したため、建物の贈与について贈与税はかかりますが、贈与した人の所得税・住民税の負担税率が高く、かつ、贈与された人の所得が少ないケース等は所得税や住民税の対策につながり、相続税と所得税の節税効果を得ることが可能です。
不動産の評価は現金より低い
不動産を贈与する時の評価額は、土地の場合は国税庁の定める評価方法である路線価方式及び倍率方式と呼ばれる方法によって評価された額になります。
一般的に、この路線価方式及び倍率方式で評価した額は国の鑑定した取引価格である公示価格の約80%とされています。
そのため、現金よりもはるかに評価額は低くなります。
ただし、土地の評価は複雑であるため、専門家に確認することをおすすめします。
土地の評価や贈与税の申告等でお困りなら静岡相続手続きサポートセンターにお気軽にご連絡ください。
建物の評価額についても通常の取引価格ではなく、国税庁の定める相続税評価額により固定資産税評価額とされています。
例えば、新築の場合の評価額は一般的に、建築金額の約40~60%程度となることが多く、やはり現金よりも有利と言えます。
貸家建付地や貸宅地等においては、さらに評価を下げることが可能です。
不動産の場合、その金額がそのまま評価される現金とは異なり、一般的に通常の取引価格よりも低く評価されることが多いため、この点がメリットと言えます。
次の表は物価上昇時と物価下落時の現金贈与と不動産贈与の有利・不利の目安です。
物価についても考慮することが大切なので参考にしてみてください。
現金贈与 | 不動産贈与 | |
物価上昇時 | 不利 | 有利 |
物価下落時 | 有利 | 不利 |
不動産の贈与は費用がかかり手続きも複雑
ただし、不動産の贈与はメリットばかりではありません。
例えば、デメリットとして贈与税以外にも登録免許税や不動産取得税等いくつかの費用がかかってきます。また、その分手続きも現金贈与より複雑になります。
他にも、契約書の収入印紙や司法書士に登記を依頼した場合の司法書士報酬等がかかります。
下記の表は、現金贈与と不動産贈与の有利・不利の比較です。
現金贈与 | 不動産贈与 | |
手続き | 簡単(有利) | 複雑(不利) |
諸費用 | ほとんどかからない(有利) | かかる(不利) |
証拠 | 残しにくい(不利) | 残しやすい(有利) |
将来の税効果 | 贈与額のみ(不利) | 将来の収入は無税で贈与(有利) |
不動産を贈与する場合の注意点
一つの不動産を複数の人に贈与する場合、現金とは異なり個別に分けることはできないため共有となります。
共有のデメリットとしては、権利関係において揉め事に発展するケースが見られることです。
贈与によって共有になった場合、例えば売買したり有効利用を検討する際に、原則全員の同意が必要になるため話が進まなくなってしまうことがよく起こります。
そのため、後から揉め事に繋がるような複雑な権利関係はできるだけ避ける方が良いでしょう。
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