先祖名義のままの土地を相続する時の問題点と対策について

先祖名義の土地を相続する場合

一般的に、相続によって取得した土地や建物は名義変更手続き(所有権移転登記)を行います。

この名義変更手続きは義務ではないため(現時点2022年6月21日において)、名義変更の手続きをせずに放置されているケースがみられます。

また、土地などの不動産の名義変更手続き(相続登記)を行う際には、登録免許税や司法書士に依頼すると司法書士手数料等の登記費用がかかります。

そのため、あえて先祖名義のままにしているケースもみられます。

2024年4月1日から始まる相続登記の義務化について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

2024年相続登記の義務化について相続登記の義務化について(2024年から)。相続から3年以内に登記申請しないと過料

このような先祖名義のままになっている不動産を相続するとある問題が生じたり、手続きが複雑になってかなりの労力がかかってしまう可能性があります。

今回は、先祖名義のままになっている土地を相続すると、どのような問題が起こる可能性があり、その問題を解決するためにはどんな対策が必要かについてご紹介します。

先祖名義のままの土地を相続する際の問題点

問題点

  • 相続財産が確定しないため遺産分割ができない
  • 遺産分割ができないため相続税の計算ができない
  • 売却など有効活用ができない

祖父名義のままになっている状態の土地がある中で、父親が亡くなったケースについてみていきましょう。

この場合、土地の真の所有者は誰になるのでしょうか。

また、祖父名義の土地は父親の財産になるのでしょうか。

父親の相続財産はどのようになるのでしょうか。

このように、いくつか疑問や問題が出てくると思います。

これらを解決しなければ相続財産が確定しないことになります。

財産が確定しなければ遺産分割ができないため、相続税額を確定させることもできません。

父親名義の財産だけであれば相続税の基礎控除額以下だから相続税がかからないと思っていたら、後から祖父名義の土地があることが分かり、その土地を加えたら相続税を納めることになってしまうなんてことも起こります。

しかも、このことを相続税の申告期限後に分かったら無申告加算税や延滞税が課税されてしまいます。

他にも、祖父名義のままの状態では売却したり、マンションを建てるなどの有効活用もできなくなります。

土地を有効活用できなければ、二次相続対策などの相続税対策もできなくなります。

また、万が一相続税の納税資金が不足しても売ることができなければ相続税を納めることができません。

固定資産税の納付はどうなる?
固定資産税の納付書は祖父宛てに届きます。もし、親族の誰かが納付しなければ、市町村に差し押さえられてしまうことがあるのでご注意ください。

先祖名義の土地がある場合の相続発生「前」の対策

相続が発生する前に、できるだけ早く先祖名義の土地を真の所有者に変更しておくべきです。

真の所有者に名義変更するためには、祖父の死亡に関する遺産分割協議書を見つけるか、または遺産分割を当時に遡って成立させる必要があります。

祖父死亡当時の遺産分割協議書が見つけられなければ、新たに作らなければなりません。

新たに遺産分割協議書を作成する際、署名捺印すべき人がすでに亡くなっている場合、その人の相続人全員が当事者になります。

さらに、相続人や当事者が高齢で判断能力が衰えている場合などは法定後見が必要になるケースもあります。

また、相続人や当事者に未成年者がいる場合、その未成年者と親権者がともに相続人や当事者であり利益相反の関係にあるなら、特別代理人の選任手続きが必要になります。

相続人に未成年者がいる場合の特別代理人の選任方法について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

特別代理人の選任方法(家庭裁判所)相続人に未成年者がいる場合の注意点。特別代理人の選任方法や選任の流れについて

法定後見の手続きは家庭裁判所に申し立てます。

後見監督人(一般的に弁護士が多い)がつく場合には、後見監督人の報酬が発生します。

以上、みてきたように先祖の土地の名義変更手続きには時間がかかることが予測されます。

なるべく早めに手続きにとりかかりましょう。

先祖名義の土地がある場合の相続発生「後」の対策

相続発生後は、当時に遡って一つ一つ遺産分割を処理していくしかありません。

もし相続税の申告期限(被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内)までに手続きが完了しない場合は、いったん確定している相続財産のみの未分割のまま申告してください。

過少申告加算税の方が無申告加算税よりも税負担は軽く済みます。

未分割のまま申告する場合、配偶者の税額軽減の特例や小規模宅地等の特例の適用を受けるのことはできませんが、申告期限から3年以内に分割された場合は更正の請求によって相続税の還付を受けることができます。

(一定のやむを得ない事情があれば、分割できることとなった日の翌日から4ヶ月以内に更正の請求を行えば、3年を超えた時点で分割された場合でも配偶者の税額軽減の特例や小規模宅地等の特例の適用を受けることが可能です。)

当事者の協力が得られないケースなどは、調定や審判などの法的な手続きを進めた方が良い場合もあります。

いずれにしても、時間が経過すればするほど関係者が増えてしまうので、そのまま放置してしまうとますます複雑になって苦労することになります。

 

生前の相続税対策や贈与税・相続税の申告、相続手続きでお悩みの方は、静岡相続手続きサポートセンターにお気軽にお問い合わせください。
(不動産の名義変更手続き・相続登記は司法書士の業務です。)

 

初回無料相談受付中!

フリーダイヤル(無料)

0120-193-451

お問い合わせ

お気軽に
ご連絡
ください!

平日 9:00~18:00 メールでのご連絡は24時間受付しております。