相続税の節税対策について解説します。
相続税を節税するためには、相続税の課税対象となる財産を減らしたり、相続税の基礎控除額を増やしたり、様々な特例を活用したりする等の方法をとることが必要になります。
それでは主な対策についてみていきましょう。
生前贈与で相続財産を減らしておく
贈与税は年間110万円(基礎控除額)までの贈与であれば税金はかかりません(暦年贈与)。
この暦年贈与を活用することで相続税の節税対策が可能になります。
110万円までの贈与のため、短期的に行う場合は相続税の節税効果は少なくなりますが、早めに長期的に取り組むことで大きな節税に繋げることができます。
贈与は相続とは異なり、法定相続人に限られないため、子供だけでなく子供の配偶者や孫などに贈与することもできます。
例えば、5人に110万円ずつ贈与すると、1年間に550万円も無税で贈与することになります。
ただし、暦年贈与には注意点があります。
相続人が暦年贈与を受けた場合、相続開始前3年以内の贈与は相続税の対象になるという制度があります。
相続開始前3年以内の贈与は相続税の節税効果がない?効果的な方法とはまた、贈与をしたことを確実に主張するために証拠を残す必要があります。
贈与の証拠を確実に残す方法。正しい贈与の仕方について贈与には次の方法もあります。
- 子や孫に住宅取得資金を贈与する
- 子や孫に教育資金を贈与する
- 子や孫に結婚・子育て資金を贈与する
住宅取得資金の贈与、教育資金の贈与、結婚・子育て資金の贈与について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
生前贈与について。贈与と認められないケースがある?注意点や方法について解説します養子縁組を利用して相続人を増やす方法
養子縁組の活用も相続税の節税効果は高くなります。
相続人が1人増えると相続税の基礎控除額を600万円増やすことができるからです。
また、相続税は累進税率のため相続人の数を増やすことで節税対策ができます。
例えば、1億2,000万円の相続財産を2人で申告した場合、1人あたり6,000万円になり相続税の税率は30%です。
でも、これが3人になると1人当たり4,000万円になるため、相続税の税率は20%に下がります。
注意点として、民法では養子縁組できる人数に制限はありませんが、相続税の計算上は人数に制限があります。
養子は、実子がいる場合は1人、実子がいない場合は2人まで法定相続人として認められています。
養子縁組の節税方法について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
相続税の節税対策。養子縁組で相続人を増やす対策不動産の評価額を下げる方法
所有している土地が利用されていなかったり、遊休地だった場合は更地評価となり評価減とはなりません。
そこで次の方法を利用すると土地の評価を下げることができます。
例えば、マンションを建てて人に貸すことによって貸家建付地評価を得ることができます。
さらに、建物の相続税評価額については、建築価格よりも低くなる固定資産税評価額を基準に計算されるため、賃貸物件なら借家権割合が控除できます。
このことで、建物(賃貸物件)を建てるだけで相続税評価額をかなり下げることができます。
相続財産(土地、建物)の評価について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
相続財産の評価方法ただし、相続財産の評価の中でも特に土地は、専門家でも複雑でかなり難しい評価になります。
相続財産の評価、相続税の申告などでお困りの方は私たち静岡相続手続きサポートセンターにお気軽にご連絡ください。
借入すること(返済額には要注意)
マンションやアパートを建築したり購入したりする際には、一般的に金融機関から借入することになります。
この借入金は、相続税法上全額債務控除の対象になるため、相続税を節税する効果があります。
ただし、必要以上に借入することは資金繰りを圧迫することになり、かえって生活を苦しめたり、財産を失うことになる可能性があります。
そのため、利回りを十分に検討し、また、将来の家賃収入の減少も考慮して返済できる金額を借入しましょう。
マンションやアパートの建築や購入は専門家と十分に話し合い納得してから行ってください。
その他の相続税の節税対策
以上みてきた節税対策以外の他にも次の方法も相続税を減らす効果があります。
相続が発生した後にも利用できる「小規模宅地等の特例」。
これは、一定の自宅の土地や店舗等の事業用地、マンション・アパート等の不動産貸付用の敷地は評価減が受けられる制度です。
小規模宅地等の特例について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
小規模宅地等の特例とは?土地の評価を下げて相続税を減らす方法小規模宅地等の特例を活用した生前贈与について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
相続税の節税対策。小規模宅地等の特例を考慮した生前贈与についてまた、生命保険の非課税枠を有効に利用することで相続税の節税に繋げることができます。
ただし、生命保険は加入する保険の種類や加入方法に注意しなければいけません。
相続税対策にはどの保険が良いか、また、契約者や受取人を誰にするかなど十分検討して加入するようにしましょう。
生命保険を利用することで、相続税の節税だけでなく相続税の納税資金対策や争族対策も可能になります。
生命保険を活用した相続税の節税対策について詳しくしりたい方はこちらをご覧ください。
相続税の節税対策。子への贈与で生命保険を活用する方法
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以上みてきた相続税対策を行ったとしても、相続税が0円になるとは限りません。
いくら節税したと言っても、相続財産によっては高額な相続税を納めなければならない場合もあります。
そのため、相続税の節税対策を行うと同時に相続税の納税資金の準備をしておくことも大切なことです。
生前贈与などの相続税の節税対策や相続手続き、相続税の申告などお困りの方は、静岡相続手続きサポートセンターにお気軽にお問い合わせください。