相続税には、税負担が軽くなる各種の控除や特例があります。
これらは相続税額を計算する上でとても重要な制度です。
今回はこれらの制度についての概要を一つ一つご紹介します。
さらに詳しく知りたい方や相続税の申告が必要で税理士を探している方など、相続専門の税理士が在籍する静岡相続手続きさぽーとセンターにお問い合わせください。
基礎控除
基礎控除は全員が使える控除です。
基礎控除額は次の計算式で求めます。
基礎控除額は、相続税の課税対象から控除できます。
相続税がかかるかどうかは、相続財産の総額がこの基礎控除額を上回るかどうかによります。
つまり、相続財産の総額が基礎控除額を超えなければ、相続人の間でどのように相続財産を分割しても相続税はかかりません。
相続税で使える主な控除一覧
これからご紹介する相続税で使える主な控除は、該当した人のみが使える控除です。
贈与税額控除
対象者
相続発生から3年以内に贈与財産を受け取った人
制度の概要
相続開始前3年以内に受け取った贈与財産は相続税の課税対象となります。
そのため、贈与を受けた時に納めた贈与税を相続税から差し引くことができます。
これは納めた贈与税の二重払いを防ぐための制度です。
配偶者の税額軽減
対象者
配偶者(夫・妻)
ただし、婚姻関係にない内縁の夫や妻は認められません。
制度の概要
配偶者は特別、1億6,000万円もしくは法定相続分のどちらか高いほうまで控除を受けられます。
そのため、この配偶者の税額軽減は節税効果が大きい制度といえます。
ただし、二次相続も検討しなければかえってトータルの相続税額が高くなってしまう場合があるためご注意ください。
配偶者の税額軽減の適用を受けることで、相続税が0円になった場合でも相続税の申告書の提出は必要です。
未成年者控除
対象者
未成年(満20歳未満)
※2022年4月1日から法改正により未成年は満18未満になります。
制度の概要
次の計算式で求められる額を控除できます。
相次相続控除
対象者
10年以内に2回相続が発生した人
制度の概要
短期間(10年以内)に相続が発生した場合、相続税を2回分支払うことになると税負担が大きくなってしまうため、この制度が設けられました。
相次相続控除について詳しくはこちらをご覧ください。
参考 相次相続控除国税庁障害者控除
対象者
障害者
制度の概要
適用を受けられる控除は、障害の区分によって異なります。
相続税の障害者控除は、次の「一般障害者」と「特別障害者」の2種類に区分されます。
例えば、特別障害者は身体障害者手帳に障害の程度が1級、2級と記載されている人、一般障害者は障害の程度が3級~6級と記載されている人など一定の基準があります。
小規模宅地等の特例
対象者
土地を相続する人
制度の概要
土地の評価額を最大で80%減額できる制度。
居住中の土地・建物などを相続したにもかかわらず、相続財産に現預金が少なかったなどの理由で相続税が納付できず、その土地・建物を手放してしまうことを避けるために設けられました。
①特定居住用宅地等
適用条件
条件はいずれか一つです。
- 被相続人の配偶者が土地を相続した場合
- 被相続人と同居していた人が土地を相続した場合
- 被相続人に配偶者も同居人もいない場合で、3年間借家住まいの相続人が取得した場合
減額率と適用面積
減額率 | 適用面積 |
80% | 330㎡ |
②特定事業用宅地等
適用条件
- 相続開始前からその土地で事業を行っている場合
- 相続税の申告完了(相続税申告期限の10ヶ月間)まで事業用の土地として使う場合
減額率と適用面積
減額率 | 適用面積 |
80% | 400㎡ |
③貸付事業用宅地等
適用条件
- 相続開始前から土地の貸付を行っている場合
- 相続税の申告完了(相続税申告期限の10ヶ月間)まで貸付を行っている場合
減額率と適用面積
減額率 | 適用面積 |
50% | 200㎡ |
小規模宅地等の特例について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
小規模宅地等の特例とは?土地の評価を下げて相続税を減らす方法小規模宅地等の特例の適用を受けることによって、相続税が0円になった場合でも相続税の申告書の提出が必要です。ご注意ください。
まとめ
相続税の計算の際に、今ご案内した控除や特例の条件に当てはまる人は、控除や特例を全て利用して減額計算することができます。
手順としては、相続財産の合計を算出してから、基礎控除を引き、次に控除や特例を当てはめて計算します。
相続税の申告書の作成、相続手続きについてお困りの方は、相続専門の税理士が在籍する静岡相続手続きサポートセンターにお問い合わせください。