相続税の申告で漏れやすい財産と漏れを防ぐための対策について

相続税の税務調査における申告漏れの件数や申告漏れ課税価格、追徴課税の状況

国税庁が発表した令和3事務年度における相続税の調査等の状況によると、相続税の実地調査では、実地調査件数6,317件に対して申告漏れ等の非違件数は5,532件で1件当たりの申告漏れ課税価格は3,530万円、1件当たりの追徴課税は886万円でした。

また、相続税の簡易な接触の状況では、接触件数14,730件に対して申告漏れ等の非違件数は3,638件で申告漏れ課税価格は428万円、1件当たりの追徴課税は47万円でした。

これらの国税庁のデータからも、相続税の申告は申告漏れや申告間違いがいかに多いかが分かります。

特に相続人が自分で申告を行った場合、申告漏れや申告間違いの割合はさらに高くなるでしょう。

それでは、相続税の申告を行う中でどんな財産がよく漏れてしまうのか、そしてその漏れを防ぐためにはどのようにしたら良いか等の対策についてご紹介します。

相続税の申告で漏れやすい財産

現金やタンス預金

相続税の申告において、現金が最も漏れやすい財産です。

例えば、親が亡くなりそうになった時、親の口座から葬儀費用や相続手続きに関する費用を引き出したり、さらには相続税を逃れようと引き出してしまう場合もあります。

このように、亡くなる直前に慌てて現金を引き出しても、これらの現金は必ず集計して相続財産として申告しなければなりません。

他にもタンス預金や銀行の貸金庫に保管してある現金も漏れやすいため事前に確認しておく必要があります。

タンス預金はその存在を発見できずに申告漏れになってしまう場合と、タンス預金があることは分かっていても申告しない場合があります。

どちらの場合も申告漏れ財産に該当します。

また、預金通帳から現金を引き出した場合、通帳に履歴が表示されるためすぐに申告漏れを指摘されてしまいます。

そのため、亡くなる直前等に引き出した現金は通帳を確認しながら集計しておけば申告漏れの対策になります。

また、タンス預金や銀行の貸金庫の存在については、生前に被相続人に確認しておくことが大切です。

被相続人に確認する前に亡くなってしまった場合は、被相続人が大切なものを保管していた部屋等を中心に探すしかありません。

専業主婦(主夫)のへそくり

例えば、夫が亡くなったケースで、生前、妻が夫からお金をもらいそのお金を口座に貯めている、いわゆる「へそくり」は元々夫から預かったお金のため相続財産になります。

へそくりが相続財産であることを相続人が知らなかった場合がよくみられます。また、中には知っていてもバレないだろうと申告しないケースもみられます。

このような「へそくり」も相続税の申告において申告漏れのないように注意しなければいけません。

家族名義の名義預金

現金と同じように、申告漏れの多い財産として「名義預金」が挙げられます。

名義預金とは、預金口座の名義人と実際に預金している者が異なる預金のことをいいます。

例えば、親が子供名義の口座を作成し、その親がその口座にお金を入れて通帳やキャッシュカード、印鑑を管理しているケースです。

この場合、子供は自由にお金を使うことができません。反対に、親はそのお金を自由に使うことができます。

そのため、これらの行為は贈与を行っているのではなく、名義預金を継続して行っている状態となります。

名義預金が相続発生後に発見されると、被相続人の財産に足し戻して相続税を計算することになるのです。

このような名義預金の申告漏れを防ぐために最も大切なことは、最初から名義預金を作成しないことです。

名義預金を作ってしまっている人は、なるべく早めに解消しておきましょう。

ただし、相続税の申告時に名義預金が残っている場合、名義預金の評価は複雑な計算が必要なため間違いが生じやすくなります。

過大申告になり無駄な税金を納めてしまうこともあるため、相続税の申告は税理士に依頼することをおすすめします。

 

相続税の申告についてお悩みの方は、私たち静岡相続手続きサポートセンターにお気軽にお問い合わせください。

ネット銀行やネット証券の口座

ネット銀行やネット証券には、一般的に紙の通帳がないことや取引残高報告書等が送られてこない場合が多く、オンラインで把握しなければならないことから、発見できず申告漏れが生じるケースがみられます。

ネット銀行の相続手続きやネットバンク口座の見つけ方について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

ネットバンクの相続手続きネットバンクの相続手続き。注意点やネットバンク口座の見つけ方も解説

対策として詳しくは、上記の記事を参考にしてください。

一番の対策はタンス預金等と同じように、被相続人から事前にネット銀行の存在について確認しておくことです。

生前贈与

申告漏れが指摘されやすい生前贈与として、「亡くなる前3年以内の贈与」と「相続時精算課税制度による贈与」の主に2種類の贈与が挙げられます。

相続開始前3年以内の贈与について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

相続開始前3年以内の贈与について相続開始前3年以内の贈与は相続税の節税効果がない?効果的な方法とは 相続開始前3年以内の贈与が7年以内の贈与加算に改正改正情報 相続開始前3年以内の贈与加算が7年以内の贈与加算に変更。対策は早めに!

また、相続時精算課税制度について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

相続時精算課税制度相続時精算課税制度とは?選択には注意点があります。メリットやデメリットを解説します 相続時精算課税制度を利用した孫への贈与の注意点相続時精算課税制度を利用した孫への贈与3つの注意点

相続開始前3年以内の贈与が申告漏れになりやすい理由は、そもそも被相続人が亡くなる前の3年以内の贈与が相続財産に加算されることを知らなかった場合がほとんどだと思います。

また、相続時精算課税制度による贈与についても言えることですが、過去に贈与を受けていたことをすでに忘れてしまっている場合です。

相続時精算課税制度による贈与は、制度が導入された2003年頃に申告した人たちが多いため、記憶が定かではない場合は税務署に問い合わせてみてください(贈与税の申告内容の開示請求)。

生前贈与を相続財産として漏らさないために、贈与税の契約書や過去の贈与税の申告書の控えを確実に保管しておくことが必要です。

生命保険金(死亡保険金)

被相続人の死亡により受け取った生命保険金が申告漏れになっているケースもみられます。

例えば、契約者:夫、被保険者:夫、受取人:妻のような契約形態の生命保険金は受け取った金額を申告書に記載しなければいけません。

固定資産税のかからない不動産

固定資産税のルールの一つとして、同じ市区町村内に所有している土地や建物のうち、その固定資産税の評価額が土地は30万円、建物は20万円までは税金がかかりません。

また、公衆用道路等の私道は非課税となります。

そのため、相続財産の中に固定資産税がかからない山林や原野、私道等がある場合、固定資産税が毎年かからないため土地を持っていることを忘れてしまうことがあります。

相続税の申告においてこれらの不動産を漏らさないためには、市区町村役場の窓口で名寄帳取得の申請を行ってください。

申請する際には、固定資産税が非課税の不動産等も必ず記載してもらいましょう。

 

以上が相続税の申告において漏れやすい財産ですが、他にも例えば、JAグループの建物更生共済もみられます。

建物更生共済とは、主に自然災害等から建物や家財の補償を目的とした共済で、この「建更」には満期金や解約返戻金があります。

建更は書類が自宅に届かないことが一般的なので申告漏れが生じやすくなります。

 

相続税の申告はとても複雑なので、税金の専門家である税理士が行っても難しく、かなり専門的な内容になることがよくあります。

相続税を専門にしていない税理士では対応できないことさえあります。

このように複雑な相続税の申告を相続人が自分で申告したことによって、せっかく苦労してかなりの時間をかけて作成したのに、税務署から申告漏れや間違いを指摘され、多額の税金を追加徴収されてしまったなんてことはよく起こりうることです。

 

相続税のことでお悩みの方や相続税の申告が必要な方は相続税専門の税理士が複数所属する静岡相続手続きサポートセンターにお気軽にお問い合わせください。

 

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