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相続税の税務調査について
相続税の税務調査は、国税庁の「相続税の調査等の状況」によると、平成30年度から令和2年度の3年間で約10人に1人が税務調査を受けていることになります。
相続人が、税理士に依頼しないで自分で相続税の申告を行った場合は、税務調査を受ける割合はさらに高くなります。
相続税の申告は一般的に他の税金よりも専門性が高く、また申告内容は複雑になるケースも多く、間違いや申告漏れ等がよく指摘されます。
国税庁の令和3事務年度における相続税の調査等の状況によると、1件当たりの実地調査の追徴税額は「886万円」とかなり高い税額が追徴されています。
では、具体的にどのような人が相続税の税務調査の対象として選ばれやすいのでしょうか。
今回は、相続税の税務調査に選ばれやすい人についてご紹介します。
相続税の税務調査に選ばれやすい人①富裕層
税務署では、会社の創業者やその後継者、大企業等の役員等の富裕層の人達の財産状況を生前から調べています。
税務署は相続税の税務調査の対象者を選定しやすいように、これらの富裕層を管理するリストを作成しているのです。
これらのデータから、申告内容が事実と異なる場合、申告内容と比較して怪しい数字がある場合などは調査対象に選ばれて、確認されることになります。
相続税の税務調査に選ばれやすい人②特定の職業の人
ある一定の職業の人たちは、多くの資産を持っているケースがよくあるため、その分税務調査の対象として選ばれやすくなります。
例えば、医師や弁護士等社会的な地位の高い人、スポーツ選手、芸能人、作家等の著名人や地主等が該当します。
相続税の税務調査に選ばれやすい人③海外資産を持っている人
税務署が海外資産を持っている人を税務調査の対象に選ぶ理由は、税金逃れの方法の一つとして海外資産を利用する人がいるためです。
そのため税務署は調査によって確認する傾向があります。
例えば、海外コンドミニアムや船舶、航空機の会員権等を所有している人は、その実態や相続財産の状況を調査されます。
海外への送金が1回当たり100万円を超えた場合は、金融機関から税務署へその情報が送られることになっていますので注意しましょう。
相続税の税務調査に選ばれやすい人④高額不動産を売却した人
税務署は、被相続人(亡くなった人)がどの不動産を、いくらで、いつ、誰に売却したかを掴んでいます。
例えば、数年前に土地を3億円で売却したのに、相続税の申告書にはそれに見合った預金が記載されていない等のケースでは、税務調査の対象に選ばれやすくなります。
相続税の税務調査に選ばれやすい人⑤若年層なのに多額の資産を持っている人
税務署は、調査対象となる被相続人だけではなく、その家族(相続人等)の預金情報も調査します。
例えば、亡くなった人の子供や孫が、本人の年齢や職業、年収に見合わない財産を持っている場合には疑って確認します。
この場合、無申告の贈与や名義預金の調査等が行われます。
相続税の税務調査に選ばれやすい人⑥高収入だったのに預金残高が少ない人
例えば、サラリーマンでも年間の給与収入が2,000万円を超える人は、会社の年末調整では納税ができないため自分で確定申告を行うことになります。
税務署は、これらの人がどのくらいの財産を貯めていたかを把握できるので、かりに相続税申告時の金融資産の額が想定よりも少ない場合には税務調査の対象に選ばれやすくなります。
相続税の税務調査に選ばれやすい人⑦高額の借入金があるのにそれに見合う財産がない人
高額な借入金があるのに、その借入金の額に見合う不動産等の相続財産が申告されていない場合は、申告漏れの可能性があると予測され税務調査に選ばれる確率が高くなります。
相続税の税務調査に選ばれやすい人⑧自分で相続税の申告を行った人
相続税の申告は複雑で専門性が高いためほとんどの人達が税理士に依頼しますが、中にはまれに自分で申告する人もいます。
相続税の申告書に税理士の署名がない場合(自分で申告した場合)、税務署は相続税の申告書に間違いがあるだろうと疑って調べます。
そして、申告に計算ミス等の間違いがあったり、申告漏れ等の不備があった場合には税務調査の対象に選ばれることになります。
相続税の申告は専門性の高い業務であるため、税理士等の専門家以外の人が作成すると間違いが生じる可能性が高くなります。
例えば、相続税の申告でよくみられる土地の評価は、相続税専門の税理士でも判断に迷うほど難しい場合が多くあります。
このように、自分で相続税の申告をした人は高い確率で税務調査に選ばれると考えておいた方が良いでしょう。
相続税の申告を自分でする場合の注意点について、詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
相続税申告における税務署の無料相談・自分で申告する場合の注意点他にも、相続税の納税義務があるのに相続税の申告を行っていない場合等は重いペナルティがあるため注意してください。
相続税の申告で最も大切なことは、正しく申告すること、すなわち間違いのない申告、資産の漏れのない申告を行うことです。
あなたが自分で申告した場合、たとえ慎重に、しっかりと申告書を作成したつもりでも間違いが生じる可能性があります。
せっかく、多くの時間や労力を費やして申告書を作成し提出したのに、税務調査によってたくさんの税金を追徴されては元も子もありません。
このようなことにならないために、相続税の申告は税理士に依頼することをおすすめします。
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