自筆証書遺言は文字どおり自分で書く遺言です。そのため、誰でも簡単に作成することができます。
費用をかけずにいつでも、どこでも、誰でも手軽に作成できることが自筆証書遺言のメリット。
一方で、形式の不備による無効や保管時のトラブルなどデメリットが多いのも特徴の一つです。
これから、自筆証書遺言に多いトラブルについてご紹介します。
自筆証書遺言のトラブル1 紛失
自筆証書遺言でみられるトラブルの一つ目は「紛失」です。
例えば、遺言書を作成した本人が生前に紛失してしまった場合は、新しく作成すれば良いのでさほど問題にはなりません。
この場合、仮に後から以前作成した遺言書が見つかっても、新しい日付の遺言のみが有効になります。
問題になるのは、相続が発生した「後」に遺言書を預かっていた人が、遺言書を失くしてしまったケースです。
また、預けた人が先に亡くなってしまった場合などは、遺言書はみつけにくくなってしまいます。
他にも、被相続人(遺言作成者)が誰にも遺言の中身を知られたくないからといって、遺言書を秘密の場所に隠してしまうケースがあります。
これらのケースでは、相続発生後に誰からも発見されない可能性が高く、被相続人の遺志を相続人に伝えることができなくなってしまいます。
自筆証書遺言のトラブル2 偽造
自筆証書遺言でみられるトラブルの二つ目は「偽造」です。
例えば、先に遺言書を見つけた相続人が、遺言書の内容を改ざんしてしまうケースが考えられます。
中には遺言書の偽造が疑われて、裁判にまで発展してしまった例も珍しくありません。
自筆証書遺言は、だれでも簡単に作成できる分、遺言書の内容や相続人の名前などによっては比較的簡単に偽造できてしまうのです。
自筆証書遺言のトラブル3 破棄
自筆証書遺言でみられるトラブルの三つ目は「破棄」です。
例えば、相続人が自分にとって不利な内容の遺言書を見つけた場合、その遺言書を破棄してしまうケースです。
このように、もし遺言書が破棄されてしまった場合、もともと遺言書が存在していたことを立証しなければなりません。
(ある相続人が遺言書を改ざんしたり、破棄してしまった場合、その相続人は相続する権利を剥奪されます。また、刑法でも私文書偽造罪や私用文書等毀棄罪に問われます。)
遺言書の存在を立証することは、とても難しいことです。
実際に遺言書があったことを示す証拠がなければ、他の相続人が遺言書の存在を主張することはできなくなります。
このように、自筆証書遺言は破棄される可能性のある遺言書のため、その保管には細心の注意が必要です。
自筆証書遺言のトラブル4 銀行の貸金庫への保管
自筆証書遺言でみられるトラブルの四つ目は「銀行の貸金庫への保管」です。
銀行の貸金庫に自筆証書遺言を保管しているケースはよくみられます。
遺言書を銀行の貸金に保管すると、紛失や偽造のリスクはほぼ防ぐことが可能です。
でも、銀行の貸金庫に保管すると、相続が発生した時に一般的に貸金庫は凍結されてしまうため、貸金庫から遺言書を取り出せなくなってしまう場合があります。
この場合、貸金庫から遺言書を取り出そうとすると相続人全員の同意が必要になってしまいます。
せっかく被相続人が遺言書を作成しても、銀行の貸金庫に保管してしまうと、遺言書が発見される前に遺産分割協議がされてしまったり、他の相続人の協力が得られず貸金庫から取り出せなくなったりする事態が生じることも考えられます。
遺言書の保管を銀行の貸金庫で行うことは、デメリットが大きいため避けるべきです。
自筆証書遺言書保管制度とは?法務局による保管制度の手続きの流れや必要書類、料金について遺言書を作成する場合は、費用はかかりますが、形式上の不備による無効を防ぎ、またトラブルも極力抑えることができる「公正証書遺言」をおすすめしています。
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